2005年8月8日、月曜深夜。この日の「メガネ芸人Ⅱ」は、番組が持つ「予定調和のなさと熱量」が凝縮された回でした。
■ 蛍原の心境に変化、メガネへの興味
番組の主役は、もちろん雛壇に並んだメガネ芸人たちでしたが、もう一人の主役はMCの蛍原さんでした。
最初は「メガネは不便じゃないか」と冷ややかに見ていたものの、笑福亭笑瓶さんの「メガネをかけて初めて笑福亭笑瓶になる」という言葉や、おぎやはぎが説く「欠点を隠し、知的なキャラクターを演出する武器」という論理に、蛍原さんは次第に引き込まれていきます。
「俺に似合うメガネ、あんのかな……」 トレードマークのマッシュルームカットを揺らしながら、本気でメガネを選びたそうな表情を浮かべる蛍原さん。相方の宮迫さんから「お前、本気で迷ってるやん!」と突っ込まれるほど、その興味は本物でした。
■ メガネ芸人たちの矜持と悲哀
スタジオでは、カンニング竹山さんが怒鳴る勢いでメガネをズラしてはクイッと直すという、もはや様式美となった動きで笑いを取り、ドランクドラゴン鈴木さんは「メガネを外すとスタジオにいても誰にも気づかれない」という、自身の存在感の薄さをメガネのせい(おかげ?)にする自虐トークで盛り上げました。
光浦靖子さんや山里亮太さんも、それぞれのフレームに込めたこだわりと、レンズ越しの視線の鋭さを熱弁し、スタジオは「メガネこそが正義」という独特の熱気に包まれました。
■ 幕切れ:ケント・デリカットの乱入と「連行」
エンディング間際、その熱気をさらにかき乱したのは、元祖メガネ芸人ともいえるケント・デリカットさんでした。 あの「目が大きくなる芸」を惜しげもなく披露し、スタジオの温度を一段引き上げたケントさんは、興奮するゲストたちに向かってこう言い放ちました。
「Heyみんな!いいメガネ、今から買いに行こうよ!」
その一言に、ゲストの笑瓶さん、おぎやはぎ、竹山さんたちは「おー!」「行きましょう!」と一斉に呼応。ケントさんのリードのもと、ゲスト全員がわらわらとスタジオの外へ出ていってしまいました。
■ 静まり返るスタジオ、取り残されたMC
圧巻だったのはその直後です。 さっきまであんなにメガネに興味を示していた蛍原さんでしたが、結局はついていかず、宮迫さんと共にスタジオにポツンと取り残されました。
賑やかだった雛壇がもぬけの殻になり、広いスタジオに二人きり。 「……行ってもうたな」 「終わってもうたな」 そんな短いやり取りを交わし、呆然と立ち尽くす雨上がり決死隊の二人の姿。そのまま何のテロップも出ることなく、ただ二人が取り残されたシュールな光景のまま、番組は静かに放送を終えました。
【総評】深夜ならではの「放り投げた」結末
この回が今も記憶に深く刻まれているのは、あの強引な幕切れにあります。 ゲストを全員連れ去るケント・デリカットさんの圧倒的なパワーと、それを見送るしかなかったMCの姿。
きっちりとしたオチや説明をつけず、そのまま「放り投げる」ように終わる。 これこそが、当時のアメトークが持っていた、他とは一線を画す「手触り」だったのではないでしょうか。

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