2004年8月10日
昨夜、私はテレビの前で「時代の変わり目」を目撃したのかもしれない。 月曜深夜、テレビ朝日系の『アメトーク!』。今回のテーマは「次世代コンビSP」。
ゲストの顔ぶれを見た瞬間、震えた。 レギュラー、アンガールズ、次長課長、アンタッチャブル。 今、劇場や深夜番組で最も「何かをしでかしそう」な4組が、雨上がり決死隊の待つスタジオに集結したのだ。30分という短い枠が、これほどまでに濃密で、そして残酷な戦場に見えたことはない。
1. 異質な才能の衝突:アンガールズの衝撃
番組冒頭、最も異彩を放っていたのはアンガールズだった。 あの独特の風貌と、脱力感あふれる「ジャンガジャンガ」。宮迫さんが「お前ら、それ何やねん!」と突き放しながらも、そのポテンシャルの高さに目を見開いているのが分かった。 彼らの笑いは、これまでの「若手」の枠組みを完全に壊している。シュールでありながら、どこか哀愁漂うその空気感。放送後のネット掲示板が彼らの話題で持ちきりになるのは、もはや必然だろう。
2. リズムと狂気:レギュラーの爆発力
一方で、圧倒的な「型」を見せつけたのがレギュラーだ。 「あるある探検隊!あるある探検隊!」というリズムネタ。一度聴いたら耳から離れないあのフレーズを、アメトークの狭いスタジオで全力で叩き込む。 西川くんの気絶ネタに対して、間髪入れずにツッコむ松本くん。このスピード感は、まさに次世代のそれだ。
3. 職人芸の極致:次長課長の「細かすぎる」トーク
そして、トークの技術でスタジオを支配していたのが次長課長だ。 河本準一の、あの「どこかで見たことがあるような、でも誰も気づかなかった変な人」のモノマネ。そして、井上聡の涼しい顔をしながら放たれる、実はとんでもなく鋭いパス。 彼らのトークには、無駄が一切ない。誰かが投げた何気ない一言を、河本さんが瞬時に「キャラ」へと変貌させ、爆笑へと繋げる。この「即興劇」のようなやり取りに、雨上がり決死隊の二人も「こいつら、油断できへんな」という表情を浮かべていたのが印象的だった。
4. 暴君・山崎と、それを迎え撃つアンタッチャブル
前回の「若手芸人SP」に続き登場したアンタッチャブルだが、今回はさらにパワーアップしていた。 山崎弘也のボケは、もはや「トークの破壊」である。共演者のレギュラーや次長課長が必死に組み立てたエピソードの結末を、彼が横から「あー!分かった!それ、結局みんなで焼肉行った話でしょ!」と適当な推測で潰しにかかる。
この暴挙に対し、柴田英嗣が野獣のようなスピードでツッコミを入れ、軌道修正する。この二人が画面に映るだけで、スタジオの酸素濃度が下がるような、凄まじい熱量を感じた。
5.伝説の乱入:邦正版「あるある探検隊」
宮迫さんが「お前、何しに来たんや!」と叫ぶ中、邦正さんはレギュラーの二人の間に強引に割り込んだ。 そして、あの「気絶」を始めた西川くんの横で、本家以上のオーバーアクションでリズムに乗り始めたのだ。
「ハイ!ハイ!ハイハイハイ!」
邦正さんのリズム感は絶妙にズレているが、その「必死さ」と「顔のうるささ」が、レギュラーの二人の存在感を完全に食ってしまっていた。 これには、さっきまで暴れていたアンタッチャブル山崎ですら「この人には勝てない……」という表情で苦笑い。 アンガールズの二人も「本物のバケモノを見た」という顔で固まっていた。
最後は、宮迫さんに首を絞められ床をのたうち回る邦正さん。 しかし、その姿すらも「あるある探検隊」のリズムに合っているような気がしてくるから不思議だ。
レギュラーの松本くんが「俺らのネタ、返してくださいよ!」と半泣きで訴え、西川くんが本当に気絶しそうな顔をしている横で、邦正さんは満足げな顔でカメラにピース。 番組はそのまま、カオスな空気の中でエンディングを迎えた。
6. 総評:これが深夜のアメトークだ
今回の「次世代コンビSP」。 若手の才能を確認するはずが、最終的には「ベテラン(?)の狂気」がすべてを飲み込んでしまった。 しかし、これこそが『アメトーク!』の醍醐味だ。
次長課長の計算された技術、アンタッチャブルの爆発力、アンガールズの独特な空気、レギュラーのリズム。 それらすべてを「ただの乱入」でひっくり返す山崎邦正という存在。 若手たちは、技術やネタの完成度だけでは勝てない「笑いの暴力」を、身をもって体験したのではないだろうか。
視聴者の私たちは、ただただ腹を抱えて笑うしかなかった。 30分という時間が、これほどまでに濃厚で、カオスで、そして愛おしい。 2004年の夏。私たちは、確かにお笑いの「核融合」を目撃したのだ。
【編集後記】 放送が終わっても、頭の中で「あるある探検隊」と「ジャンガジャンガ」が交互に流れている。 そして、山崎さんのあの不敵な笑み。 きっと、数年後のテレビはこの4組が席巻しているに違いない。 その時、私はこのブログ記事を読み返して、「俺はあの日、未来を予言していたんだ」と自慢するつもりだ。

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